杉田(椙田)です、
市場の歪みをうまく突くのがビジネスであり、不動産投資も例外ではありません。僕も日々、購入する物件を探していますが、今日は面白い物件に遭遇したので、ちょっとシェアします。
この物件は東京都心に立地する、だけど残念ながらボロアパートです。所有者のおばあちゃんが、「もう歳で管理できないアパートがある」というので見せてもらうと、まずは「借地」のアパートで、かつ接道も細く再建時にはかなりセットバック(道路後退)しないといけない、既存不適格な物件でした。
それで、いろいろヒアリングすると、借地料が毎月数万円かかっているものの、家賃も築年の割には取れていて、しかもずっと満室!ということで、さすが都心・・という印象です。
まあ、共担でも差し入れれば、三井トラストとかのノンバンクで買えるかな?と軽く思っていたのですが、謄本を取ろうとしたところ、なんと土地(底地)の謄本は出ますが、肝心の建物の謄本がない!!!という衝撃的な事実が発覚しました。
えっ!?
おばあちゃん、これまで建物を登記することなく、数十年普通に借地権アパートとして運営してきたの??
もちろん登記がなくても法的には売買は成立して所有権は得られますが、第三者が登記してしまえば、それに対抗できない(権利を主張できない)というのが登記がないことのリスクです。
ましてやこの物件なんかは、借地権付きのアパートですから、たとえば底地権者(土地の所有者ね)が、変な気を起こして、こっそり勝手に建物を自分名義にでも登記してしまうと、建物は完全に盗られてしまうことになります。
そういうリスク、分かってるのかなあ。
「借地の契約書ありますか?」と聞いても、「もう何十年も前のことで忘れた・・、でも毎月地代を支払ってるから大丈夫」とのこと(いや、全然大丈夫じゃないっす^^)
それで懇意にしている司法書士の先生に、これを買うにはどういう手続きが必要か、を問い合わせたところ、
(1)まず表示登記をする
(2)次に所有権保存登記をする
とのことでした。(1)は土地家屋調査士マターで(2)の方は司法書士マター。費用は(2)は数万円でできますが、(1)に関しては通常は新築時に行うもので、その場合は10万円程度なのですが、今回のように建築から数十年が経過していて当初の図面等もないであろう場合は、その調査が難航することが予想されるため、費用も十数万~数十万円かかります。
これだけのことを手続きして、それから漸く売ってもらう準備ができます。
ん~~~
底地権者に飛び込んで、「底地売ってください!」ってワンチャン言ってみようかな・・とか良からぬ思いもふと頭によぎります。なにしろ市場の歪みを突くのがビジネスですからねぇ。