杉田(椙田)です、
全国賃貸住宅新聞の記事で、管理戸数ランキング995社っていうのが出てました。
一見すると何気ない記事にもみえますが、上位にランクインしている大手のほとんどが「サブリース」と呼ばれる契約を推奨しています。
「それの何が問題なの?」という方へ向けて、今回はこのランキングから読み取れる「大手不動産会社の闇」と、サブリースの問題点について解説します。
全国賃貸住宅新聞の管理戸数ランキング
この記事では不動産テックを切り口にしていますが、2位にランクインしている積水ハウスを除き、上位9社が全て「サブリース」で管理戸数を多く獲得しています。
不祥事を起こしてしまったレオパレスが3位にランクインしていることから、不動産会社にとってサブリースが拡販しやすく、定着率の高い商品であることがわかりますね。
そもそもサブリースとはなに?
「サブリース」とは「転貸借」のことです。
通常、賃貸契約は大家と入居者の名前でダイレクトに行われます。管理会社はあくまでも「物件の管理」「入居者の募集」が主な業務で、管理料(家賃収入の5%前後)を徴収しています。
一方サブリースの場合、大家と入居者は賃貸契約をせず、それぞれサブリース会社と契約を結びます。
契約上、大家はサブリース会社に「一括」で部屋を貸す代わりに、空室が出ても安定した家賃を得ることが可能なのですね。
このような「安定した家賃収入」をウリに、サブリースは全国に大きく広まっていくことになります。
それぞれの違いをまとめると
通常の賃貸契約とサブリースの主な違い
通常の賃貸契約 | サブリース | |
契約者 | 大家と入居者 | 各々がサブリース会社 |
家賃収入 | 不安定、空室リスク | 空室が出ても同額 |
管理料 | 約5% | 高額(契約内容による) |
入居者の募集 | 管理会社・大家 | サブリース会社 |
このような違いがあります。
サブリースの落とし穴
空室が出ても一定の額が支払われ、入居者の募集も大手不動産会社がしてくれるサブリースは大家にとってもメリットが大きい契約方法にも思えますよね。
しかし、サブリースの契約内容によってはかなり大きな落とし穴があります。
よく見られる3つのケースをご紹介します。
1.家賃の支払い額を減額交渉される
空室が出ても一定の家賃収入が入るため、空室リスクが無いように見えるサブリースですが、空室が続いた場合にはサブリース会社から家賃減額の交渉をされます。
「減額されるくらいなら、サブリースを解約する!」と考えるかもしれませんが、サブリースを解約した場合、「貸し剥がし」をされるケースがあります。
2.途中解約すると「貸し剥がし」をされる可能性
貸し剥がしとは、入居者を別の管理物件に引っ越しさせたり、入居者のレンタル家具を回収するなどして入居者を退去させる手法のこと。
サブリース会社からすれば自社管理の空室を埋めた方が得になるからです。
サブリース会社の「ブランド名による管理」に頼っていた物件が貸し剥がしをされれば、運営が立ち行かなることも考えられます。
3.修繕費が高額になりやすい
サブリース契約をしている場合、自身でリフォーム会社をみつけて施工することが出来ない契約になっていることがあります。
そのため、大規模修繕に向けた「修繕積立金」や、スポットの「修繕費」がサブリース会社の言い値になってしまいがちです。
管理戸数ランキングでわかる「大手不動産会社サブリース」の闇
「管理戸数上位の大手9社がサブリース会社」ということは「多くの大家がカモにされている」と言う風にも言い換えられます。
なぜならサブリースは「メリットよりデメリットの方がはるかに大きい契約方法だからです
表向き「安定した家賃収入が入る」という風に謳っていますが、その家賃を減額されたりサブリース契約を打ち切られるデメリットの方がはるかに大きいですよね。
このように、管理戸数ランキング、という何気ない記事の裏側には多くの個人大家がカモにされている実態が隠されていました。 サブリースといっても「不動産投資」には変わりありません。営業マンの話を鵜呑みにせず、契約内容を再度見直し、しっかり勉強しておかなければいけませんね。