椙田(すぎた)です、
「築古戸建てを安く買って、週末にDIYで直せば、リフォーム代を浮かせて儲かるはず」。そう考えて、ホームセンターに通い始める方は少なくありません。ところが1年たっても、まだ1軒目をいじり続けている。そんな話を、僕はよく耳にします。
今日は、築古戸建てのDIYと外注の線引きについて、お話しします。DIYを否定したい話ではありません。むしろ、最初の1回はやってみる価値があると思っています。ただ、「全部自分でやる」ことが、いつの間にか稼ぐ道をふさいでしまうことがあります。その分かれ目を、数字と現場の話で整理します。
※この記事は、一般的な情報の提供です。電気・ガス・水道などの工事に必要な資格や、廃棄物の処分のルールは、内容や自治体によって異なります。実際の工事は、専門の業者や役所に確認したうえで、ご自身の判断で行ってください。
目次
全部自分でDIYする人が、稼げなくなりやすい理由
週末になるとホームセンターに通い、部材を現場に運び、養生をして、クロスや床を張り、ペンキを塗る。手はボロボロになり、腰も痛い。それでも「業者に頼めば20万円かかるところを、材料費3万円で仕上げた」と聞けば、17万円も得をしたように見えます。ここまでの計算は、間違っていません。
問題は、その1年後です。DIYを頑張った人が、まだ1軒目に手を入れている間に、DIYをほとんどやらなかった人は、同じ1年で3軒目の家賃を受け取っている。そんな差がつくことがあります。同じ空き家、同じ予算、同じスタート地点でも、時間の使い方で結果が変わるのです。
差がつく原因は、「安く仕上げるために自分でやる」という考え方に、計算式が1つ抜けていることです。抜けているのは、自分の労働時間です。この記事では、その時間をお金に換算して考える方法と、築古戸建てのDIYと外注を分ける線引きを順番に見ていきます。
築古のDIYを否定しない理由|最初の1回は経験を買う
先に、誤解されそうな点を整理しておきます。僕はDIYの否定派ではありません。これから始める方は、最初のうちに一度、自分の手でやってみたらいいと考えています。
理由は、やってみないと分からないことがあるからです。実際に手を動かすと、「これは大変だった」というものと、「意外と簡単にできた」というものが、はっきり分かれます。
- クロスを1面だけきれいに貼る作業は、素人がやるとかなり大変です。
- 和室の畳を上げて、その上にクッションフロア(塩ビのシート状の床材)を敷く作業は、思っているよりずっと簡単なことがあります。
- 押し入れを抜いてクローゼットにする作業も、意外とできます。
- 給排水の配管をいじる作業は、素人が手を出す領域ではありません。
この「大変だったもの」と「簡単だったもの」の仕分けが、自分の体に残ります。すると、業者さんから見積もりが出てきたときに、金額が妥当かどうかを判断できるようになります。
たとえば、「和室6畳を洋室にします、18万円です」という見積もりが出たとします。一度自分でやった経験がある人なら、「この工程で18万円は高いのではないか」と言えます。逆に「クロスの全室張り替えで25万円です」と言われたら、「あれは職人さんでないと難しいし、この面積ならこんなものか」と納得できます。この感覚があるかないかで、リフォーム費用は数十万円変わってきます。
取得費をほとんどかけずに手に入れる空き家では、勝負どころはリフォーム費用と家賃です。リフォームで50万円余計に払うかどうかで、投資の回収期間が丸1年変わることもあります。ですから、最初に一度やってみることは、家賃収入に効いてくる、意味のある経験です。ただし、これは「経験を買うためのDIY」です。「節約のためのDIY」とは、目的が違います。
築古戸建てのDIYと外注の線引き|3つのゾーンで考える
では、どこまでを自分でやり、どこからを外注にするのか。築古戸建てでは、作業を3つのゾーンに分けて考えると整理しやすくなります。
| ゾーン | 主な作業 | 考え方 |
|---|---|---|
| DIY向き | 掃除、残置物の軽い片付け、簡単な補修、塗装、クッションフロアの敷設、網戸の張り替え、簡単なコーキング、照明の交換(範囲に注意) | 失敗しても大きな損にならない。経験と見積もりを見る目が身につく |
| 危険ゾーン | 水回りの配管、ガス、分電盤まわり、構造に関わる解体、雨漏りが絡む部分、下地が傷んだ床、シロアリ、外壁の大規模な補修 | 中途半端に触ると、かえって費用が増える。専門の業者に任せる |
| 資格が必要 | 電気工事の多く、ガス工事、給排水の領域(内容による) | 自分でやってはいけない。資格のある業者に依頼する |
大切なのは、「やっていい範囲」を、作業に取りかかる前に決めておくことです。その場の勢いで「これも自分でできそうだ」と広げていくと、危険ゾーンに入り込んでしまいます。
見た目の大きさと、実際の難しさは、逆になることがあります。たとえば、キッチン本体は大きくて重そうですが、置いてあるだけの設備であれば、外して新しいものを据える作業は意外に単純です。一方で、見た目は地味な水栓の交換は、元栓を締めて壁から出ている配管を扱う必要があり、素人には難しいことがあります。見た目で判断せず、「失敗したときにどうなるか」で線を引くのが安全です。
電気工事については、資格が必要な作業があります。自分の物件であっても、配線を触る作業は危険です。コンセントの増設や配線の引き直しは、資格のある業者に任せてください。
DIYの本当のコストは「自分の時給」で見る
線引きの次は、お金の見方です。「業者に頼むと高いから自分でやる」という言葉は、節約をしているようで健全に聞こえます。しかし、この計算には、自分の労働時間が入っていません。
最初の例に戻ります。業者に頼めば20万円、自分でやれば材料費3万円で、差額は17万円。では、この工事に何時間かけたでしょうか。土日をつぶして、朝から晩まで、3週間。仮に1日8時間として6日で48時間です。これに移動と買い出し、失敗してやり直した分を足すと、60時間ほどになります。17万円を60時間で割ると、時給は約2,800円です。
ここで初めて、正しい問いが立ちます。「自分にとって、時給2,800円は高いのか、安いのか」。これが判断の物差しです。自分の時給単価を決めておいて、それより効率よくお金を生める使い道があるなら、その時間はDIYに使わないほうがいい、ということになります。
| 立場 | 時給2,800円のDIYは | 理由 |
|---|---|---|
| 時給1,200〜1,300円の仕事をしている人 | やったほうがいい | 空いた時間が現金に変わる。動くお金が数千円〜数万円の規模なら十分に得 |
| 本業が忙しい会社員 | やらないほうがいい | 有休を使い、腰を痛めて時給2,800円を稼ぐのは、割に合わない。物件探しの時間も消える |
| 副業で、動くほど成果が伸びる人 | やらないほうがいい | その時間を物件探しや交渉に使ったほうが、リターンが大きい |
| DIYが趣味の人 | 好きにやっていい | 作業そのものが余暇。時給の発想は不要 |
| 家賃収入で暮らす専業の大家 | やってもよい | 時間に余裕があり、発注分がそのまま手元に残る |
しかも、素人の作業は遅くなりがちです。プロが1日で終える作業に、僕たちは3日かけることがあります。仕上がりも、プロには及びません。平日に仕事がある人は、作業できるのが週末だけなので、今週終わらなければ来週末まで工期が延びます。いつまでも完成しない状態が続けば、実際の時給は、最初に計算した2,800円よりさらに下がります。DIYで浮かせられる金額は、やる前に思っているより小さくなりがちです。
週末DIYの時間は、想像以上に積み上がる
時間の重さを、もう少し具体的に見てみます。週末だけ動ける人が、土日に8時間ずつ作業するとします。月に4日で32時間です。これを半年続ければ、192時間になります。
- 時給2,000円で換算すると、192時間は約38万4,000円分の労働です。
- 時給3,000円で換算すると、約57万6,000円分の労働です。
これは、あくまで考え方を示すための計算です。それでも、「人件費はゼロ」と考えた瞬間に、収支の計算が狂うことは分かると思います。しかも、築古の戸建ては、開けてみないと状態が分からないことが多く、そのために工程が伸びがちです。工程が伸びれば、材料費や労力が増えるうえ、家賃が入り始めるのも遅れます。
家賃が5万円になる予定の物件で、工事が半年遅れたとします(仮の例です)。この場合、家賃だけで30万円分の収入が遅れます。これは、DIYで浮かせたつもりのお金から、静かに消えていく金額です。作業時間だけでなく、家賃が入らない期間も、DIYのコストに入れて考えます。
築古戸建てのDIYで、時間が溶けやすい4つの場面
ここからは、築古戸建てのDIYで、よくつまずく場面を順番に見ていきます。
1. 残置物の撤去だけで、予定が崩れる
空き家だから何もないだろうと思っていても、実際にはタンス、布団、食器など、荷物がたくさん残っていることがあります。特に畳と建具は重く、運ぶだけで体力を消耗します。
撤去は、運べば終わりではありません。木、金属、プラスチック、布、家電、危険物、スプレー缶と、分別が必要です。自治体のルールがあり、持ち込む処分場にも受け付け時間があります。軽トラックを借りる費用やガソリン代、処分費もかかります。
量にもよりますが、残置物が多い家では、軽トラック数台分で数万円から十数万円かかることは珍しくありません。業者に頼むと、量や搬出の条件次第で、50万〜100万円になる場合もあります。自分でやると、2週間で終わる予定が、1か月かかることも普通にあります。なお、家庭ごみは自治体で安く出せても、投資用の物件から出る廃棄物は、扱いが異なることがあります。処分のルールは、自治体や業者に確認してください。
2. キッチンと浴室で、汚れと害虫に心が折れる
水回りは、見るからに大変な家が多い場所です。油汚れが層になっていたり、排水が詰まっていたり、カビが根を張っていたりします。ゴキブリやネズミが出ることもあります。出た時点で作業は止まりますので、いないに越したことはありません。
さらに厄介なのは、ここで「設備を触りたくなる」ことです。ガス・電気・水道は、内容によって資格や専門の施工が必要です。ガス配管を触るのは論外ですし、コンセントの増設や配線の引き直しも危険です。水道も、配管のつなぎ方を間違えると漏水し、床下が腐ります。
最悪なのは、直したつもりで漏れているパターンです。床下でじわじわ傷み、数か月後に床がふわふわしてきて、また床を剥がしてやり直すことになります。二度手間になり、修繕費も跳ね上がります。
3. 解体を始めた結果、現場が住めない状態になる
壁を剥がし始めると、一気に「現場」になります。断熱材がなく、冬は冷蔵庫のように寒く、夏はサウナのように暑い。休憩する場所がなくなる。粉じんが舞い、マスクをしても喉をやられる。廃材が増えて、置き場もなくなる。
休憩場所がないことは、意外と大きな問題です。座って休めないと、人は折れてしまいます。リフォーム業者さんの体力と精神力は、本当にすごいと思います。長くデスクワークをしてきた人が、現場仕事を続けるのは、想像以上にきついものです。
廃材の処分も大変です。木材、石膏ボード、断熱材、瓦、トタン、古い建具などは、家庭ごみとして出せず、産業廃棄物として扱われるのが基本です。これがコストアップの大きな要因になります。解体の順番を間違えると、無駄も増えます。たとえば、先に室内をきれいにしてから天井に着手すれば、家の中がほこりだらけになります。
4. 途中で放置して、結局は業者に丸投げする
最初のうちは順調でも、本業が忙しくなって手が止まることがあります。そうなると、工事の途中で止まった家が、いつまでも完成しません。心が折れて、最後は大部分を業者さんに頼むことになります。
ところが、その時点の現場は、解体の途中で止まった中途半端な状態です。引き継ぐ業者さんは、原因を調べるところから始めなければならず、手間が増えます。そのぶん、費用も割高になりやすくなります。「手伝ったつもりが、かえって邪魔をしていた」という結果になりかねません。
築古DIYで安く見えるのは、手間を数えていないだけ
素人が中途半端に触った痕跡が残ると、追加の費用が出やすくなります。たとえば、床を支える下地が弱っているのに、上から床材を貼れば、床が沈みます。壁の下地が歪んでいるのに、ボードやクロスを貼れば、クロスが割れたり、建具が閉まらなくなったりします。そうなると、その部分を業者さんがやり直すことになります。
工具にもお金がかかります。最初は安いものを買っても、途中で壊れたり、性能が足りなくて買い直したりします。作業効率が悪ければ、時間もさらに溶けます。
当初の予定では、1か月で仕上げて、材料費中心で安く済ませるつもりでした。現実には、半年かかり、工具の購入、処分費、追加の工事で、かなりの金額になっていた。そういう例は、決して珍しくありません。DIYで安く見えるのは、人件費や時間、家賃が入らない期間を、数えていないだけなのです。
リフォーム費用は、家賃の上がり幅で回収できるのか
DIYの話は、リフォームをやるべきかどうかという、もう一段手前の話にもつながります。ここで、投資としての数字を確認しておきます。
仮に、リフォームに200万円かけたとします。それで上げられる家賃が、月1万円だったとしましょう(仮の例です)。年間では12万円のバリューアップ(価値の上乗せ)です。200万円を12万円で割ると、約16.6年かかる計算になります。ざっくり17年です。
実際には、途中で設備が壊れることもありますし、空室が出ることもあります。固定資産税もかかります。回収には、20年近くかかることも普通にあり得ます。回収している間に、次の修繕がやってくるわけです。
ですから、投資用の物件では、「リフォームして家賃を上げる」より、「必要最小限で貸せる状態にして、回す」ことを基本に考えます。どうしても手を入れる場合は、回収の見込みを、数字で確認してからにします。DIYで安く直したとしても、そもそも直す必要のない場所なら、浮いたお金も時間も無駄になります。
入居者さんに、DIYを許可する貸し方もあります。この点は、別の記事で書いたDIY型賃貸借の考え方が参考になります。
DIYをやらずに空いた時間は、物件探しに使う
では、DIYをやらないで空いた時間を、何に使うのか。ここが、いちばん大事なところです。
空き家の投資は、時間、もっと言えば行動量で決まります。ジモティーを何回見たか。空き家バンクに何件問い合わせたか。現地に何回足を運んだか。近所の不動産会社に何軒顔を出したか。持ち主さんに何回連絡したか。この回数が、そのまま結果になります。
なぜかというと、安く手放したい物件は、探せば必ず出てくるものではないからです。持ち主さんが「もう手放したい」と思った、その瞬間に、そこに自分がいるかどうか。タイミングの勝負です。打席に立つ回数がすべてで、打席に立つには時間が必要です。
土日をつぶして床を張る60時間を、物件探しと交渉に使ったら、どうなるでしょうか。内見なら10件は回れるかもしれません。問い合わせなら50件はできるでしょう。そのうち1件でも条件のよい物件が決まれば、その1軒が生む家賃は、たとえば月4万円として、年間48万円です(仮の例です)。しかも、来年も再来年も入ってきます。DIYで浮かせた17万円は、その年に1回きりです。
作業をする人と、物件を回す人。この違いです。作業する人は、1軒を安く仕上げることに時間を使います。回す人は、次の1軒を見つけることに時間を使います。1年目はほとんど差が出ませんが、3年目には、軒数に決定的な差がつきます。
DIYをやっていいケースを整理する
ここまで、DIYに慎重な話をしてきました。ただし、例外もあります。
趣味としてのDIY
DIYが趣味の人は、時給の話を無視して構いません。手を動かすのが好きで、休みの日に作業するのが楽しくてしょうがない。そういう方にとって、それは余暇です。時給が発生しない時間を、楽しみながら使っているのですから、全く問題ありません。
僕自身も、どちらかといえば、こちら側です。古民家の再生を自分でやっていますが、あれは趣味です。完成が遅くなっても困りませんし、作業効率で言えば発注したほうが早いのですが、楽しいからやっています。
ただ、いちばんややこしいのは、趣味でやっているのに「節約のためにやっている」と思い込んでいる人が、けっこう多いことです。楽しいからやっているのか、安く上げたいからやっているのか、経験を積みたいからやっているのか。目的と手段がごちゃごちゃになっていないか、一度整理してみてください。そのうえで、自分にとってDIYは妥当な選択なのかを意識する。これを意識しているかどうかで、3年後の物件の数に差が出ます。
専業の大家になってからのDIY
もう1つの例外は、家賃収入だけで生活している専業の大家さんです。家賃は、寝ていても入ってきます。逆に、今月がんばったからといって、今月の家賃が増えるわけでもありません。時間だけはたっぷりある状態なので、時給の発想があまり関係なくなります。
このような方が、発注するつもりだった作業を自分でやれば、そのぶんが丸ごと手元に残ります。趣味と実益を兼ねられます。専業になってからのDIYは、アリだと思います。つまり、順番の問題です。稼げるようになる前にDIYをやる人と、稼げるようになってからDIYをやる人では、同じことをしていても意味が逆になります。
将来は、発注の価値が変わるかもしれない
この話には、賞味期限があるかもしれないとも考えています。現在は、現場の職人さんの人手不足が進んでいます。若い人が入ってこず、高齢化が進んでいます。手に職を持つ人の価値が高まる時代が来るとも言われます。そうなれば、職人さんに手を動かしてもらう作業の発注は、今後さらに高くなる可能性があります。
仮に、リフォームの発注費用が今の倍になるような時代が来たら、自分でやる価値は大きく上がります。ただ、2026年の時点では、まだそうなってはいません。僕の考えでは、2026年時点でDIYをやるべきかと聞かれたら、大抵の人にとっては「やらなくていい」です。まだ、発注できる金額で、発注できる相手がいるからです。
築古DIYと外注の線引きを決める手順
最後に、実際の物件で線引きを決めるときの手順をまとめます。DIYを始める前に、次の順番で進めてください。
- 目的を決める。経験を積みたいのか、節約したいのか、趣味として楽しみたいのか。目的がはっきりしないままでは、判断がぶれます。
- 自分の時給の目安を決める。仕事の収入や、物件探しに使った場合に生み出せる金額から、おおよその時給を考えます。
- 清掃から始める。いきなり解体に入らず、まずは掃除をして、家の状態を見えるようにします。
- 点検をする。床下、屋根、水回りなど、傷んでいる場所を確認します。分からない部分は、業者さんに見てもらいます。
- 必要最小限の修繕計画を立てる。貸すために本当に必要な工事だけを書き出します。
- 見積もりを比べる。業者さんに複数の見積もりを依頼し、工事の範囲と金額を比べます。
- DIY向きの作業だけを選ぶ。掃除、塗装、簡単な補修など、失敗しても致命傷にならない作業に絞ります。水回り、電気、構造は、専門の業者さんに任せます。
- 期限を決める。いつまでに終わらせるかを決め、遅れたら外注に切り替える基準も決めておきます。
順番を逆にして、いきなり解体から入ると、廃材が増え、休憩場所がなくなり、取り返しのつかない問題が出てきます。見た目から入るのではなく、掃除と点検から入ってください。
築古戸建てのDIYで、見落としやすいポイント
- 自分の作業時間を、コストに入れずに計算してしまう
- 工期が延びたときの、家賃の機会損失を考えない
- 見た目から入って、解体から始めてしまう
- 水回り、電気、構造を、自己流で触ってしまう
- リフォーム費用を、家賃の上がり幅で回収できると思い込む
- 途中で手が止まったときの、外注への切り替え基準を決めていない
- 趣味のDIYを、節約のためと思い込む
よくある質問
築古のDIYは、初心者でもやったほうがいいですか?
最初の1回は、やってみる価値があります。大変な作業と簡単な作業を体験すると、業者さんの見積もりが妥当かどうかを判断しやすくなります。ただし、それは経験を積むためのDIYです。節約が目的なら、自分の時給で計算し直してみてください。
DIYで済ませてよい作業は、どこまでですか?
掃除、塗装、簡単な補修、クッションフロアの敷設、網戸の張り替えなど、失敗しても大きな損にならない作業が目安です。水回りの配管、ガス、分電盤まわり、構造に関わる解体、雨漏りが絡む部分は、専門の業者さんに任せてください。電気やガス、給排水の工事には、資格が必要なものがあります。
DIYと外注で、結局どちらが安くなりますか?
材料費だけを見ればDIYが安く見えますが、自分の作業時間、工具代、やり直しの費用、家賃が入らない期間を加えると、外注のほうが安くなることもあります。工事の内容と、自分の時間の価値で、ケースごとに計算するのが確実です。
途中までDIYをして、残りを業者に頼んでもいいですか?
頼むこと自体はできますが、現場が中途半端な状態だと、引き継ぐ業者さんは原因の調査から始めることになり、費用が割高になりやすくなります。途中から頼むのであれば、どこまで作業したかを正直に伝え、先に見積もりを取ってください。できれば、最初から「ここまで自分でやる」と範囲を決めておくのがおすすめです。
リフォームをして、家賃を上げたほうがいいですか?
家賃の上がり幅と、リフォーム費用の回収年数を、数字で確認してから決めてください。たとえば、200万円かけて家賃が月1万円しか上がらない場合、回収に17年ほどかかる計算になります。貸せる状態に必要最小限で整えて回すという考え方も、あわせて検討してください。
DIYをやらない場合、空いた時間は何に使えばいいですか?
物件探しと交渉に使うのがおすすめです。問い合わせの数や、現地に足を運んだ回数が、そのまま結果につながります。DIYに使う予定だった時間を、次の1軒を見つける時間に回してみてください。
まとめ
築古戸建てのDIYは、初心者のうちは一度やってみる価値があります。大変な作業と簡単な作業の仕分けが身につき、業者さんの見積もりを見る目が養われるからです。ただし、それは経験を買うためのDIYであって、節約のためのDIYではありません。
安く仕上げるためのDIYという感覚になった瞬間から、罠が始まります。そのときは、自分の時給を決めて、それより効率よく成果を出せるかどうかで判断してください。時給1,300円ほどの仕事をしている方なら、やったほうが得なこともあります。しかし、忙しい人が仕事を休んでDIYをするのは、あべこべです。
DIYの線引きは、掃除・塗装・簡易な補修のように、失敗しても致命傷になりにくい作業までです。水回り、電気、構造は、専門の業者さんに任せます。趣味として楽しめるなら別枠ですし、専業の大家になれば、時間に余裕ができるので、やればいいと思います。
最後に、これだけは覚えておいてください。DIYで17万円を浮かせた人は、17万円を得したのではなく、60時間を払ったのです。60時間は、二度と戻ってきません。いちばん高くついているのは、実は現金ではなく、時間のほうです。DIYと外注の具体的な線引きや、見積もりの見方については、スクールでもお伝えしています。
※繰り返しになりますが、この記事は一般的な情報の提供です。電気・ガス・水道の工事に必要な資格や、廃棄物の処分のルールは、内容や自治体によって異なります。実際の工事は、専門の業者や役所に確認したうえで、ご自身の判断で行ってください。
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