椙田(すぎた)です、
「築古の物件を安く買ったけれど、どこまで直せば貸せるのか分からない」「リフォーム会社に見積もりを頼んだら、びっくりする金額が出てきた」。築古の戸建てやアパートに投資しようとする方から、本当によく聞く悩みです。
今日は、築古物件で最低限リフォームすべき箇所と、あえて直さない箇所についてお話しします。僕の本業は、リフォームやリノベーションを手がける工務店です。そんな僕が、自分の賃貸物件では、できるだけリフォームをしない方針を取っています。その理由と、それでも手を入れる箇所を、順番にお伝えします。
※この記事は、一般的な情報の提供です。工事の内容や費用は、物件の状態や地域によって大きく異なります。実際の工事は、専門の業者に現地を見てもらい、見積もりを取ったうえで、ご自身で判断してください。
築古物件のリフォームは、最低限から考える
築古物件を貸すとき、多くの方が最初に考えるのは「どこをきれいにしようか」ではないでしょうか。ところが、僕の考え方は逆です。「どうすればリフォームせずに済むか」から考え始めます。
理由はシンプルで、収益を得るために物件を買ったのに、リフォームに費用をかけすぎると、かけたお金を回収するのに何年もかかってしまうからです。リフォームのやりすぎで破産した、という話までは聞いたことがありません。ただ、投資額の回収が延びて、何のために物件を買ったのか分からなくなる、という失敗は、本当によくあります。
自分たちが住む家なら、より快適に、よりおしゃれにと、お金をかけても構いません。自分の暮らしを豊かにするための支出だからです。ただ、賃貸は、収益を生むための事業です。リフォームの目的は、「貸せる状態にして、家賃を得ること」に絞られます。この記事で言う「最低限」とは、その目的に必要なものだけを指します。
リフォーム費用は、家賃にそのまま乗らない
最小限にとどめる最大の理由は、リフォームにかけたお金が、家賃にそのまま上乗せできないことです。
たとえば、100万円をかけてピカピカにリフォームしたとします。では、その100万円を回収するために、家賃を月1万円上げられるかというと、上げられないことがほとんどです。その地域の家賃相場は、立地や間取りで、おおよそ決まっているからです。築古の物件が、中身を新築のようにしたところで、相場の天井を大きく超えることは、なかなかできません。
ここで、利回りという言葉を使います。利回りとは、投じたお金に対して、1年でどれくらいの家賃収入が返ってくるか、その割合のことです。次の例を見てください(仮の例です)。
| 最低限だけ直した場合 | 新築のように直した場合 | |
|---|---|---|
| 物件の取得費 | 50万円 | 50万円 |
| リフォーム費用 | 50万円 | 500万円 |
| 投資額の合計 | 100万円 | 550万円 |
| 家賃(月) | 5万円(年60万円) | 6万円(年72万円) |
| 表面利回り(年間家賃÷投資額) | 60% | 約13% |
同じ物件なのに、リフォームにお金をかけすぎただけで、投資としての魅力が4分の1以下になってしまいます。これが、過剰リフォームの怖さです。表面利回りは、経費や空室を考えない、ざっくりした計算上の数字ですが、差の大きさは伝わると思います。
僕らがやるべきなのは、新築のようにすることではありません。貸せる最低ラインを見極めて、そこにだけお金を使うことです。
築古で最低限リフォームすべき箇所の全体像
先に、戸建ての場合の全体像を表にします。この後の章で、一つずつ中身を説明します。
| 優先度 | 箇所 | 直す理由 | 費用を抑えるコツ |
|---|---|---|---|
| 最優先 | 水漏れ(水回り) | 生活インフラで、放置すると腐食が広がる | 見えない場所の漏れも、購入前に確認する |
| 最優先 | 雨漏り・シロアリ(構造) | 家の骨組みに関わり、再生コストが読めなくなる | 原因が小さいうちに、水の入り口をふさぐ |
| 高い | 草刈り | 内見で、まず印象が決まる。草を刈れば、建物は使えることも多い | 専門業者でなく、便利屋やシルバー人材センターへ |
| 高い | 残置物の整理 | 大量に残っていると、入居希望者の印象が悪い | 処分せず、撤去だけして敷地内に移す |
| 高い | クリーニング | 見た目が、くすみや汚れで悪くなっている | 簡単な拭き掃除なら、人件費だけで済む |
| 低い | 床の沈み、古い建具、壁紙のめくれ | 致命傷ではなく、住む人が気にしないことも多い | 直さず、家賃で調整するか、DIY型賃貸借にする |
水漏れと構造のダメージは、お金をかけてでも手当てします。草刈り、残置物、クリーニングは、費用が小さい割に、貸しやすさが大きく変わる部分です。そして、床の沈みや古いデザインは、基本的に直しません。この線引きが、築古物件のリフォームでいちばん大事な判断です。
まずは「リフォームしない」から出発する
最低限のリフォームを考えるはずなのに、いきなり矛盾するようですが、僕の基本スタンスは、ノーリフォームです。冗談ではなく、リフォームをしないことを、第一優先に考えています。
とはいえ、本当にノーリフォームで終わるケースは少なく、何かしら手を入れざるを得ないことのほうが多いです。僕はこれまで空き家を150件ほど取得してきましたが、そのうち7割くらいは、何らかのリフォームが必要な物件でした。実感としては、8割方の物件で、手を入れる必要があります。リフォームしないと決めてかかっている僕ですら、現実には、リフォーム代がかかります。
それでも、「どこをリフォームしようかな」と考えながら物件に入るのと、「リフォームしないぞ」と決めて入るのとでは、最終的にかかる費用に、大きな差が出ます。
引き算ではなく、足し算で考える
リフォーム会社に「リフォームしたいんです」と相談すると、びっくりするくらい、見積もりの箇所があれこれ出てきます。リフォーム会社も商売ですから、ふつう「リフォームしなくていいですよ」とは言いません。ボロボロの戸建て1軒をまるごと見積もると、800万円といった満額の見積もりが出てくることもあります。
ここから安くしようとするとき、多くの人は「これとこれはやらないでおこう」という、引き算で考えます。ところが、この方法では、やらない箇所を決めていっても、なかなか金額が下がりません。
僕のやり方は、逆です。全部やらないところから出発して、「さすがにここだけはやっておかないと、あとでお金が余計にかかる」と思った箇所だけを、足していきます。ここはボロいけどやらない、ここは汚いけどやらない、と、スルーを選んでいくイメージです。足し算方式で考えると、本当に必要な箇所だけが残ります。これは技術というより、自分に対するマインドセットです。
リフォームの予算は、家賃の10か月分が目安
戸建てでもアパートでも共通して言えるのは、リフォームを始める前に、予算の上限を決めることです。リフォームは、やろうと思えば、際限なくできてしまうからです。
予算は、最終的に得られる家賃から逆算して決めます。僕は、取れる家賃の10か月分を、ひとつの目安にしています。月4万円で貸せる物件なら、40万円です。ただし、現実には、10か月で回収できないことも珍しくありません。取得費がいくらだったかによっても、変わってきます。あくまで目安として、使ってください。
特に気をつけてほしいのが、お金に余裕がある方です。リフォームに費やせるお金があるぶん、あれもこれもと、どんどんやってしまいがちだからです。余裕があるときほど、上限を先に決めておいてください。
最低限リフォーム①:水漏れは最優先で直す
ここからは、具体的な箇所です。1つ目は、水回りの水漏れです。
水は、生活インフラそのものです。人が住むということは、トイレを使い、お風呂に入り、台所で水を使うということです。この水が、きちんと出て、きちんと流れなければ、そもそも人は住めません。
特に注意が必要なのが、見えない場所の水漏れです。床下や壁の中で、じわじわ水が漏れていると、木材が腐って、あとから大きな修繕につながります。だから、水漏れは、見つけたら放置せず、最優先で直します。ここは、ケチってはいけない場所です。
水回りの確認の順番や見積もりの取り方は、「空き家を買う前に上下水道を確認する」の記事に書きました。
最低限リフォーム②:雨漏りとシロアリは構造の問題
2つ目は、雨漏りとシロアリです。どちらも、家の骨組み、つまり構造に関わる問題です。
シロアリは、柱や土台の木材を、内側から食い荒らしていきます。専門用語で蟻害(ぎがい)とも言います。壁紙が剥がれているといった表面の話とは、わけが違います。柱がスカスカになれば、最悪の場合、家が傾いたり、地震で倒れたりするおそれがあります。雨漏りも同じで、放っておくと、屋根の下地や梁から、どんどん腐っていきます。
だから、表面がきれいかどうかではなく、「この家の骨格は大丈夫なのか」を見ます。骨格にダメージがある物件は、いくら安くても、僕は手を出さないことが多いです。再生にかかるコストが、読めなくなるからです。
雨漏りは、水の入り口をふさぐところから
雨漏りがある場合は、少なくとも、水の入り口をふさいでおくのがおすすめです。放置すると、天井の腐食が広がったり、床に水がたまって傷みが広がったりと、時間とともに、不具合の範囲がどんどん広がるからです。
雨漏りの原因は、瓦のずれや、漆喰(しっくい)の傷みであることが多いです。その場合、少し補正したり補修したりするだけで、収まることは、よくあります。ところが、専門の屋根業者に見積もりを取ると、数十万円、場合によっては屋根全体の葺き替えを提案されて、150万円の見積もりが出ることもあります。もちろん、良心的な業者さんもたくさんいます。ただ、屋根瓦は意外と長持ちするので、軽いメンテナンスで十分、というケースも多いです。
僕の場合は、便利屋さんに屋根に登ってもらい、瓦のずれを直してもらうことで、数万円で収まることもあります。まずは、そこから試してみる価値があります。なお、屋根の上の作業は転落の危険があるので、ご自身で登らず、慣れた方に依頼してください。
雨染みの跡は、直さず貸すことが多い
雨漏りの跡の室内側は、状態によります。僕は、そのまま貸すことが多いです。天井が垂れ下がっているような場合は、さすがに見た目が悪いので、垂れた部分を剥がして処分します。天井は骨組みだけにして、貸すこともあります。垂れ下がるのは、プリント合板という、薄い紙のような板を貼り合わせた天井用の軽い合板で、水に濡れるとめくれるためです。
雨染みの跡が残っているだけなら、そのままで十分です。
最低限リフォーム③:草刈りはコスパのよい工事
3つ目は、草刈りです。放置された空き家は、特に夏場、草が生い茂って、玄関にたどり着けないほどになっていることがあります。普通の人は、ここで挫折して、「こんな家は無理だ」と考えてしまいます。
ところが、逆に言うと、草さえ刈れば、建物は案外まだ使えることが多いです。草刈りは、定義上リフォームなのか、という違和感はありますが、僕にとっては、費用対効果がとても高い工事のひとつです。ボロ空き家を買ったとき、どこにお金をかけるかと言われたら、真っ先にやるのが、これです。
やり方は、いくつかあります。
- 刈払機を使って、自分で刈る
- 時間がない方や、遠方の物件なら、シルバー人材センターに依頼してコストを下げる
- 便利屋さんに頼む
- 近所の方に、お礼を払って刈ってもらう
植木屋さんなどの専門業者に頼むと、費用がかさみます。できるだけ、専門でない方に頼むのがコツです。なお、シルバー人材センターなどの利用条件や料金は、地域によって異なりますので、事前に確認してください。草刈りを含めた年間の維持費については、別の記事で数字を整理しています。
最低限リフォーム④:残置物は処分せず、撤去だけする
4つ目は、残置物です。残置物とは、前の住人が置いていった家財道具のことです。大量に残っていると、内見に来た入居希望者の印象が、非常に悪くなります。ないに越したことはありません。
ただ、お困り空き家のように、残置物が大量にあると、撤去するだけで数十万円、数百万円かかるケースもあります。その費用の大半は、撤去そのものよりも、処分費用が高いことによります。
そこで、僕がおすすめするのは、処分せずに、撤去だけをすることです。たとえば、古い家に蔵や納屋、倉庫、車庫がついていれば、そこへ残置物を全部移します。そういった場所がなければ、賃貸する面積を減らしてでも、部屋のひとつに荷物を全部押し込んで、その部屋だけ貸さない、という選択肢もあります。いわゆる、開かずの間をつくる方法です。
たとえば、5LDKの空き家なら、1部屋をつぶして、4LDKとして貸し出します。「そのぶん、家賃は少し安くしておきます」と伝えれば、納得される入居者さんもいます。
実際に、便利屋さんに、撤去と処分の見積もりを頼んだところ、80万円かかると言われた残置物の量で、同じ敷地内の車庫に移すだけにしたら、2人工(2人で1日分の作業)で、4万円と消費税で済んだ事例があります。条件の合う物件に限られますが、コストを大きく下げられる方法です。処分費用や、撤去の進め方の詳細は、別の記事で書いたとおりです。
最低限リフォーム⑤:クリーニングで清潔感を出す
5つ目は、クリーニングです。長年放置された空き家は、傷みだけでなく、チリやホコリがたまって、フローリングがくすんだり、畳が汚れたりして、見栄えがとても悪いことが多いです。
この場合は、簡単な拭き掃除だけでも、見た目が大きく変わります。
- フローリング:拭き掃除をして乾かしたら、専用のワックスを塗ります。ツヤが戻り、見違えるようになります。
- 畳:専用の薬剤も売られていますが、緑茶で拭くときれいになることもあります。表面が傷んでいる場合は、ホームセンターで売っているイ草シートを上から敷くと、数千円で見た目が改善します。
戸建てのクリーニングを専門の業者に頼むと、5万円程度かかります。便利屋さんやシルバー人材センターに、簡単な掃除としてお願いすれば、1日分の日当、つまり人件費だけで済むので、コスパがよくなります。
内見者の印象を決める「清潔感」の考え方
清潔感は、機能ではなく印象の話ですが、入居の決め手になることは多いです。庭の草を刈る。玄関まわりのクモの巣を払う。キッチン、トイレ、お風呂を徹底的に掃除する。場合によっては、便器だけは新しいものに交換する。この程度で、「ここなら住めるかも」と思ってもらえます。お金があまりかからないのに効果が大きい、費用対効果のよい投資です。
築古で、あえて直さない箇所
最低限リフォームの話で、実はいちばん大切なのは、あえて直さない判断です。直す技術より、直さない判断のほうが、実は難しいと感じています。
たとえば、次のようなものです。
- 床が、少し沈んでいる箇所がある
- 扉や引き戸などの建具が、古いデザインである
- 壁紙の端が、少しめくれている
気になりますよね。直したくなります。でも、こうした「致命傷ではないが、気になる」レベルのものは、基本的に直しません。代わりに、次の2つの方法を使います。
方法①:DIY可能な物件として、入居者に委ねる
最近は、自分好みに部屋を手入れしたい、という入居者さんが、一定数います。「壁紙を好きに貼り替えていいですよ」「棚をつけていいですよ」と伝えると、むしろ喜ばれることもあります。家賃を相場より少し抑えるかわりに、退去時に元に戻さなくてよい、という条件にすれば、お互いにとってメリットがあります。大家さんは、直すコストがかかりません。入居者さんは、安い家賃で、自分好みの部屋に住めます。
こうした契約の形を、DIY型賃貸借と呼んでいます。契約書での取り決めが大切なので、書き方の基本は、賃貸借契約書の記事を見てください。
方法②:家賃の設定でカバーする
もうひとつは、シンプルに、家賃で調整するやり方です。床が少し沈む、見た目が古い、といった点を、正直に家賃へ反映して、相場より少し安く出します。すると、多少のことは気にしない、とにかく安く住みたい、という層が、きちんとつきます。完璧な部屋を高く貸すより、少し難のある部屋を、安く確実に埋めるほうが、空室のリスクは小さくなります。事業としては、こちらのほうが安定します。
中途半端に直すと、ドミノ倒しになる
なぜ「直さない勇気」が必要なのか。それは、中途半端に手を出すと、止まらなくなるからです。
経験のある方もいると思います。たとえば、壁紙を1面だけ新品に貼り替えたとします。すると、隣の古い壁紙が、急に汚く見えてきます。「ここもやらなきゃ」となります。壁がきれいになると、今度は窓のサッシの汚れが気になり出し、サッシがきれいになれば、天井のシミが目につきます。
こうして、今まで全然気にならなかった箇所が、ひとつ直すたびに、次々と気になってきます。気づけば、予算を大幅に超えています。僕はこれを、過剰リフォームのドミノ倒しと呼んでいます。最初の1枚を倒さないことが、大切です。つまり、最初から「ここはやらない」と線引きしておくことです。
完璧主義は、空き家ビジネスでは、ほぼ敵です。100点満点中40点の仕上がりでも、きちんと貸せて、収益が出るのなら、それで目的は達成です。
アパートの場合の、最低限リフォーム
ここまでは、主に戸建ての話でした。アパートは、戸建てと違って、自主管理ではなく、管理会社に委託している場合がほとんどです。ノーリフォームのままだと、管理会社に客付けを協力してもらえなかったり、敬遠されたりすることもあります。そのため、最低限のリフォームが必要になる場面が、戸建てより多くなります。
ただし、ここでも過剰なリフォームは避けてください。手を入れてよいのは、次の2種類だけです。
- 損なわれている機能を、回復させるための工事
- 家賃に上乗せして反映できる、付加価値のある工事
具体的には、次のような設備が、候補になります。
| 設備 | ポイント | 費用を抑えるコツ |
|---|---|---|
| 温水洗浄便座 | 若い世代から高齢の世代まで、幅広く日常に根づいている。ないと、部屋を選んでもらえないこともある | 取り付けは簡単な工事なので、便利屋さんでも対応できることが多い |
| 追い焚き給湯器 | ファミリー向けでは、複数人が入浴するため求められやすい。家事をする方の目線では、必須に近い | 部屋の広さに合った、過剰でない能力のものを選ぶ。中古品を安く買う方法もある |
| エアコン | アパートでは、つけたほうがよい。戸建てなら、家賃を下げる代わりに、なしという選択もできる | 新品がおすすめ。オフシーズンの春や秋に取り付けると、夏冬より大きく安くなる |
| モニターフォン | 女性の一人暮らしなどで、来訪者を画面で確認できるものが喜ばれる | 1万円ほどから。ワイヤレス型なら取り付け費を抑えられる |
追い焚き給湯器やエアコン、モニターフォンは、これまで、プロパンガス会社が無償で提供してくれるケースも、ありました。ところが、近年の法令の変更で、そうした提供ができなくなったガス会社が増えています。自分で費用を負担する前提で、検討する必要があります。ガス会社ごとに対応は違うため、契約しているガス会社に確認してください。
エアコンは、中古でも構いませんが、品質にばらつきがあり、古い機種は故障のリスクが高いため、安くてもいいので新品をおすすめします。新品の価格は、季節で大きく変わり、夏や冬は、本体と取り付けを合わせて、3倍ほどになることもあります。春や秋のオフシーズンに先行して投資するのがコツです。また、ネット通販で本体を買い、近くの電気設備業者さんに取り付けてもらうと、安く済むこともあります。複数の店で見積もりを取って、いちばん安い方法を選んでください。
モニターフォンは、取り付けが比較的簡単ですが、電気工事士の資格を持つ便利屋さんに依頼するのが、安全です。設備ごとの扱いについては、築古戸建ての設備の記事も参考にしてください。
築古物件の最低限リフォーム、判断のチェック表
物件の内見のときや、リフォームの見積もりを取る前に、次の表を使って、判断を整理してみてください。
| 確認すること | 判断の目安 | どうするか |
|---|---|---|
| 水回りに水漏れはあるか | ある | 最優先で直す。見積もりは2社以上から取る |
| 屋根や天井に、雨漏りの跡はあるか | ある | 水の入り口をふさぐ。まずは軽い補修で収まるか確認する |
| 柱や土台に、シロアリの被害はあるか | 広範囲にある | 費用が読めなければ、購入を見送ることも検討する |
| 庭の草は、伸びているか | 伸びている | 便利屋、シルバー人材センター、近所の方に依頼する |
| 残置物は、多いか | 多い | 処分せず、蔵・車庫・1部屋に移す方法を検討する |
| 床・壁・建具は、傷んでいるか | 致命傷ではない | 直さず、DIY型賃貸借か、家賃で調整する |
| 予算は決まっているか | 決まっていない | 取れる家賃から逆算して、上限を決める |
最後の行がいちばん大切です。先に予算と線引きを決めてから、見積もりを頼んでください。
よくある質問
築古物件は、リフォームしないで貸せますか?
物件の状態によりますが、ノーリフォームで貸せるケースもあります。ただ、僕の実感では、8割方の物件で、何らかの手入れが必要です。最低限の水漏れ、雨漏り、草刈り、清潔感は、押さえておいてください。
リフォームの予算は、どう決めればいいですか?
得られる家賃から逆算して決めます。僕は、取れる家賃の10か月分を、ひとつの目安にしています。ただし、取得費によっては、10か月で回収できないこともあります。あくまで目安として、使ってください。
雨漏りは、屋根を全部葺き替えないと直りませんか?
必ずしもそうではありません。原因が瓦のずれや、漆喰の傷みなら、補修だけで収まることがあります。葺き替えを提案されたときは、別の業者や便利屋さんにも見てもらい、複数の意見を聞いてみてください。屋根の上の作業は危険なので、ご自身で登らないようにしてください。
残置物の処分費用を抑える方法はありますか?
処分せずに、撤去だけして、蔵や車庫、あるいは室内の1部屋に移す方法があります。僕の事例では、撤去と処分で80万円と言われた量が、車庫への移動だけなら、2人工で4万円と消費税で済みました。条件の合う物件に限られる方法です。
床の沈みや古い壁紙は、直さなくても大丈夫ですか?
致命傷でなければ、基本的に直しません。DIY型賃貸借にして、入居者に委ねるか、家賃を相場より少し抑えて、カバーします。ただし、床の沈みが構造の傷みや水漏れによるものなら、原因を確認して、手当てが必要です。
アパートの場合は、最低限どこを直せばいいですか?
損なわれた機能を回復させる工事と、家賃に上乗せできる付加価値のある工事に絞ります。具体的には、温水洗浄便座、追い焚き給湯器、エアコン、モニターフォンなどです。地域や入居者層で求められるものが変わるので、管理会社にも聞いてみてください。
まとめ
築古物件のリフォームは、新築のようにすることが目的ではありません。貸せる最低ラインを見極めて、そこにだけお金を使うことが、基本です。
お金をかけて直すのは、水漏れ、雨漏りとシロアリによる構造のダメージ、そして最低限の清潔感です。清潔感は、草刈り、残置物の整理、クリーニングで出せます。一方、床の沈み、古い建具、壁紙のめくれのような、致命傷でないものは、あえて直しません。DIY型賃貸借や家賃の調整で、カバーします。
そして、リフォームを始める前に、予算の上限を決めてください。取れる家賃から逆算して、10か月分程度を目安にします。中途半端に手を出すと、ドミノ倒しのように止まらなくなるので、最初から線引きをしておくことが、お金を守る一番の方法です。
次に物件を見に行くときは、チェック表を持って、直す所と直さない所を、先に決めておいてください。リフォームの費用を抑える具体的なやり方は、スクールでもお伝えしています。
※繰り返しになりますが、この記事は一般的な情報の提供です。工事の内容や費用は、物件の状態や地域によって大きく異なります。実際の工事は、専門の業者に現地を見てもらい、見積もりを取ったうえで、ご自身で判断してください。
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