杉田(椙田)です、
2019年9月6日にSBIが島根銀に25億円(34%)出資し、資本提携することを正式発表しました。これを皮切りにSBIホールディングス(HD)が全国の地方銀行と資本・業務提携する「地銀連合構想」が始動しています。
【SBIが第4のメガバンクグループ化⁉️】
SBIの北尾社長は、地銀の買収でメガバンクを作ると発言した模様。まず手はじめに島根銀行に25億円を出資し、34%の株を取得、取締役2名を送り込む。スルガ銀などへの出資も検討しているそうです。恐るべしSBI🤓https://t.co/cmvoSSq9Ng
— 杉田卓哉(椙田拓也) (@sugita_takuya) September 9, 2019
今後SBIは地銀を買いまくり、連結純資産100兆円以上のメガバンクグループを作る可能性が高いです。他の金融機関に与える影響も今後ますます大きくなるでしょう。
本記事ではSBIの意図と不動産への影響について解説します。
SBI(SBIホールディングス株式会社)とは
SBIは元々ソフトバンクの投資部門でしたが、いまは独立しています。代表取締役社長CEO には北尾吉孝さんが就任しており、ソフトバンクとの資本的関係はなくなっていますが、ソフトバンクグループ会長の孫正義さんとは個人的にも交友があるようですね。
北尾さんはライブドアのフジテレビ買収事件の際にホワイトナイトとなるなど、経済の大きな動きがある際に度々名前の出てくる人物。
現在、SBIは国内ネット証券最大手になっています。
島根銀行とは
株式会社島根銀行は島根県を中心とした第二地方銀行です。
地方銀行の経営難の理由
私のブログを購読している方はご存知の方が多いかと思いますが、島根銀行を含む地方銀行は苦境に立たされています。
理由は下記の4つ
- マイナス金利
- 地方経済縮小
- キャッシュレス化
- 預金者の高齢化
特にマイナス金利の影響は大きく、『銀行の利益が減る』⇒『貸出先の企業を厳選する』⇒『中小企業の資金力低下』⇒『貸出先が減る』⇒『銀行の利益が減る』という悪循環を及ぼしています。
数値でみると明らかですが、金融機関にとって利益のメインであった『利ざや』が年々大きく減少しています。今後状況が大きく変わるとは思えませんので、同じような施策をとり続ける地方銀行は衰退の一途をたどってしまいます。
では、なぜSBIはわざわざそんな経営難の島根銀行(地方銀行)に投資をしたのでしょうか。
SBIはなぜ島根銀行に25億円も投資したのか
通常出資により25億円を出資し34%の株を保有すると買収ということになりますが、持ち分法適用会社にはしないとのことなので、買収というよりは投資に近い形です。
持ち分法適用会社についてははこちらを参考に
(https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/ma/equity_method)
この買収(持分法適用会社)とせずに投資だけしているのが非常に重要な点で、その目的は2つあります。
①SBIの商品(証券)を地方顧客に販売するため
SBIと島根銀行の業務提携内容を確認すると下記のような内容が書かれています。
2.業務提携の内容
(1)島根銀行のお客さまに対する当社グループの幅広い金融商品・サービスの提供
(2)当社グループの資産運用ノウハウやグローバルなネットワークから得られるファンド情報等の活用による、島根銀行の資金運用の高度化
(3)当社グループならびに当社グループ出資先企業等が有するテクノロジー等の活用を通じた、島根銀行の顧客利便性の拡充および営業コストの最適化 等
提携内容をまとめると、技術やノウハウ提供の代わりに島根銀行の顧客へSBIの商品(投資信託)を販売してもらう、という内容です。
これまでSBIがインターネットを介した販売方法でリーチできなかった地方の投資家(主に高齢者)に自社の証券を販売したい意図が見えてきます。
一方、地銀がネット証券のノウハウを獲得したとして、大きく業務改善が出来るかと言われると少し疑問が残ります。SBIホールディングスは島根銀行を連結対象としていませんので、島根銀行の業務改善の責任を逃れているようにも見えてきます。
②SBIホールディングスのメガバンク構想
SBIはメガバンク化を目指しています。それはつまり、島根銀行との提携を契機にここから同じような地銀を買いまくって、連結純資産100兆円以上のメガバンクグループを作るということですね。
“北尾吉孝最高経営責任者(CEO)は3日、都内の講演で「第4のメガバンク構想を実現していく」と語った。
日経新聞:https://r.nikkei.com/article/DGXMZO49503320W9A900C1MM8000?s=1“
いわゆるメガバンクと言われる銀行は純資産で、MUFG約280兆円、MHFG約189兆円、SMFG183兆円なので、りそな銀行を抜いてこれらに肩を並べるバンクグループを形成する、ということになります。
SBIと地方銀行が及ぼす不動産への影響
SBIグループは傘下に、『住信SBIネット銀行』『SBI証券』という金融機関も持ってますが、リテール(小売り)に特化していて、大口の不動産融資はやっていません。
残念ながら、島根銀などの地方銀行を買収し、連結資産100兆円以上のメガバンクグループを作っても、方針は同じで不動産投資への融資はあまりやらない気がします。
とはいえ経営に苦しむ地方銀行にとって、SBIの「地銀連合構想」が実質的な「駆け込み寺」になっているのも事実。地銀の業績が大きく好転する可能性もなくはありません。
SBIと地方銀行の動向を今後も注意して見ていくべきでしょう。