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真名団地のその後|千葉・茂原市の巨大市営団地は、全員が退去したあとどうなるのか

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千葉県茂原市の真名団地を現地で見上げる椙田拓也

椙田(すぎた)です、

以前、僕は、千葉県茂原市の真名団地へ、ロケに行きました。

そのときの動画は、こちらです。
▶ 【日本最大級の廃墟】人が消えてしまった巨大団地を調査したら昭和の名残が感じられる奇妙な空間でした
▶ 【9割空き家】東京から1本でいける廃墟の空き家「真名団地」

そのころは、市が退去を求めていて、住んでいる方は、わずかになっていました。

その退去が、ついに完了しました。そして、市は、ここを再開発することを決めたそうです。

あの巨大な団地が、いよいよ次の姿に変わっていくのだな、と感慨深いニュースでした。

今日は、茂原市が公表している資料と、FNNなどの報道で確認できた事実を、整理してお伝えします。

※この記事は、一般的な情報の提供です。法律・税金・自治体の方針に関する部分は、状況によって異なります。実際の判断は、役所や専門家に確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。また、市の計画は今後変わる可能性があります。

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真名団地とは?茂原市の市営住宅をおさらい

真名団地の敷地内を通る道と、並ぶ建物(椙田拓也が現地で撮影)

まず、真名団地とは何かを、簡単におさらいします。真名団地は、千葉県茂原市にある市営住宅で、正式には「市営真名住宅」と呼ばれます。茂原市の中心部から、約5キロ離れた場所にあります。

茂原市の資料によると、管理戸数は全299戸、敷地面積は約56,000平方メートルです。建設は昭和45年から50年(1970〜1975年)にかけてです。茂原市の最新の資料(2026年6月の基本計画書)では、建物は鉄筋コンクリート造の平屋が20棟、二階建てが52棟、四階建てが1棟と記載されています。ほかに、集会所と物置もあります。

以前お話ししたとおり、僕がこの団地を取り上げたときは、2021年時点の数字を紹介しました。2021年5月時点の入居は23世帯で、そのうち高齢者の世帯が14世帯です。299戸に対して23世帯ですから、空室率は92%を超えます。家賃も、約8割が月1万円以下という安さでした。

最盛期の人口については、報道によって「約1,000人」「1,300人超」など、書き方が異なります。いずれにしても、かつては相当な数の人が暮らしていた団地です。

項目 内容(確認できた範囲)
所在地 千葉県茂原市真名。市中心部から約5km
種別 市営住宅(市営真名住宅)
管理戸数 全299戸
敷地 約56,000平方メートル(市有地 約2.4ha、民地=借地 約3.2ha)
建設時期 昭和45〜50年(1970〜1975年)
建物 平屋20棟、二階建て52棟、四階建て1棟ほか(2026年6月の市の基本計画書)
2021年5月時点の入居 23世帯(うち高齢者の世帯は14世帯)
居住者の状況 市の資料では、令和7年度末(2026年3月)をもって退去済み

※最盛期の人口や棟数は、資料や報道によって数え方が異なります。ここでは、市の資料で確認できた数字を中心に書いています。

真名団地の「その後」とは?全員退去と最近の報道

では、「その後」はどうなったのでしょうか。

茂原市は、2021年に市営真名住宅の廃止の方針を決めました。その後、入居者に退去を求める手続きが進み、2025年7月時点の住民は3人と報じられています。市は2026年3月までの退去を求めており、2026年3月中旬に、すべての居住者が転居したと報じられました。市の最新の資料にも、居住者は令和7年度末をもって退去済み、と書かれています。

そして、FNNプライムオンラインが2026年10月20日付で、この団地を取り上げました。報道によると、取材班は10月19日に現地を訪れています。かつての茂原市は工業都市として栄え、1970年代に建てられた真名団地には、最盛期に約1,000人が暮らしていたそうです。2010年代に工場の閉鎖が相次ぎ、人口の減少や建物の老朽化で入居者が減り、一部では「ゴースト団地」と呼ばれるようになりました。

報道によれば、上空から見ると、東京ドーム1.2個分ほどの広い敷地に建物が並んでいて、静けさが際立っています。市の許可を得た取材では、老朽化したドアに大きな穴があいていたり、建物の中まで草が生い茂っていたり、窓が割られたような痕跡があったり、雨どいやペットボトルなどのごみが捨てられていたりする様子が伝えられました。かつて公園だった場所は、草原のようになっているそうです。

この報道で、僕が最も重要だと思ったのは、荒れた様子よりも、市の説明です。茂原市の担当者(商工観光課)は、住民の不安もあることから、この場所を新しく「産業用地」として整備していきたい、と説明しています。不法侵入や火事の危険性もあるため、産業用地として再開発することを決定した、という内容です。インターチェンジから近いので適地と考えており、現在は企業誘致などを行う民間事業者を選定中とのことです。

つまり、真名団地の「その後」は、住宅としての再利用ではなく、産業用地への転用という方向になっています。ここからは、市の公式資料で、どこまで確認できるかを見ていきます。

なぜ市営住宅が廃止になったのか

市営住宅の廃止には、いくつかの理由が重なっています。市の資料と報道から、確認できることを整理します。

  • 建物の老朽化。昭和45年から50年に建てられた建物なので、築50年前後です。報道でも、2021年に老朽化を理由として廃止の方針が決まったと伝えられています。
  • 入居率の低下。2021年5月時点で、299戸に対して23世帯でした。ほとんど空室の状態で、建物の維持管理だけが続きます。
  • 地域の産業構造の変化。報道では、工場の閉鎖や縮小が相次ぎ、働く人が地域を離れて、過疎化が進んだと伝えられています。
  • 土地の事情。市の2021年の資料では、敷地は約5.6ヘクタールと広大で、そのうち借地が約3.2ヘクタール、約6割を占めると書かれています。借地は住宅用地の中に混ざっていて、その上に市道が張りめぐらされている、という課題も挙げられていました。

以前お話ししたように、入居者が少なくなっても、市は少数の人のために維持管理のコストをかけ続けなければなりません。それなら、今ある建物をなくして、新しい街づくりをしたいと考えるのは、自治体として自然な流れだと思います。

ただ、「壊したいから、すぐ壊す」というわけにはいきません。そこで次に、立ち退きの話に進みます。

全員が退去するまでの道のり|借地借家法という壁

市営住宅を廃止するときに、いちばん大きな壁になるのが、入居者の権利です。日本の借地借家法は、借りている側(賃借人)の権利を強く守る作りになっています。貸す側に正当な事由がなければ、契約を一方的に打ち切ることはできません。

一般論としては、貸主が契約の更新を拒むときも、建物の使用の必要性や、立ち退きの条件(いわゆる立ち退き料など)を含めて、正当な事由があるかどうかが問われます。裁判所も、簡単には認めてくれません。自治体であっても、考え方は同じです。

そのため、実際の現場では、強制ではなく、お願いベースで粘り強く交渉することになります。市の資料と報道から見える、進め方の流れは、次のとおりです。

  1. 新しい入居者の募集を停止する(これ以上、人が入らないようにする)
  2. 入居者に説明会を開き、一軒ずつ訪問して、事情を伺う
  3. 市営住宅などの移転先を案内し、必要に応じて家賃の補助を検討する
  4. それでも難しい方には、個別に相談しながら、期限を示して退去をお願いする

市の2021年の資料には、移転の問題点として、高齢の方が対象となる1階の空き部屋が非常に少ないこと、移転先の確保には民間住宅を活用しなければならず、家賃補助の制度が必要なことが書かれています。さらに、高齢者は連帯保証人の確保が難しいため、保証会社の導入も検討課題に挙がっていました。なお、令和2年度(2020年度)には、2階建て部分の移転事業が完了し、16世帯が移転した、とも記されています。

以前お話ししたとおり、市が実施したアンケートでは、「自分で物件を探すことができるか」という質問に、できないと答えた世帯が13世帯、未回答が5世帯でした。2021年時点の全23世帯のうち、多くの方が、自力での転居に不安を抱えていたことになります。

家賃が安く、長年暮らした場所です。住み続けたい理由は、人によってさまざまだったはずです。だからこそ、一軒ずつ丁寧に進める必要があったのだと思います。

立ち退きで必要になること 真名団地で確認できた対応(市の資料・報道) 民間の戸建て大家の場合(一般論)
入居者への説明 説明会の開催、個別の訪問 書面での通知、面談。弁護士・管理会社に相談するケースも
転居先の確保 市営住宅への移転、民間住宅の活用を検討 物件探しの手伝い、知り合いの紹介など
お金の面 家賃補助制度の検討(2021年の資料) 立ち退き料、引っ越し費用の負担を話し合う
保証人の問題 保証会社の導入を検討(2021年の資料) 保証会社の利用、緊急連絡先の確保
期限 市は2026年3月までの退去を要請(報道) 契約期間の満了や、双方の合意で設定

全員退去のあと、建物と土地はどうなるのか

入居者が全員退去すれば、すぐに解体して終わり、と思われがちです。しかし、実際には、跡地の扱いに多くの課題があります。茂原市の資料から、確認できたことを整理します。

2021年の市の資料には、「真名住宅の土地利用に係る課題」として、次のような点が挙がっていました。敷地が約5.6ヘクタールと広大であること、借地が約6割を占め、地権者が多いこと、建物の数が多いこと、市で解体と造成を行うと莫大な費用がかかること、もともと田畑だった場所を造成した土地のため、原状回復して返還するのは非常に困難であること、です。

その後、市は民間事業者の意見を聞くサウンディング型の市場調査を行い、結果を2024年12月に公表しています。そして2026年6月には、「茂原市真名団地地区産業用地整備事業 基本計画書」をまとめました。この計画書で、跡地の方向性が具体的に示されています。

基本計画書で確認できる、主な内容は次のとおりです。

  • 事業の目的は、圏央道などの道路網を生かして、市と民間開発事業者が協力し、産業用地の整備と企業誘致を進めること
  • 事業計画区域は、市営真名住宅を含む約5.6ヘクタール以上。詳しい区域は、民間開発事業者の提案を受けて決める
  • 市営真名住宅は、民間開発事業者が撤去することとされている
  • 区画は、中規模の2〜4ヘクタールを基本にする(5ヘクタール程度の大きな区画や、1ヘクタール未満の小さな区画にも対応できるようにする)
  • 立地が望まれる業種として、半導体関連、健康・医療関連、電動車・蓄電池関連、省力化・自動化関連、素材系、食料品関連などが挙げられている

FNNの報道で市の担当者が話していた「産業用地として再開発する」「民間事業者を選定中」という内容は、この基本計画書の内容と合っています。なお、解体の具体的な時期や、実際に決まった事業者の名前は、僕が確認した範囲では見つかっていません。

基本計画書には、事業スケジュール(案)も載っています。あくまで案であり、今後変わる可能性があります。

時期 予定されている内容(案)
2026年度(令和8年度) 民間開発事業者の公募・選定。農振除外、農地転用、用途地域の指定に関する協議と、地権者への説明・同意確認を並行して進める
2027年3月まで 選定した事業者と協定を締結
2028年度末 農振除外と、用途地域の指定
2029年度の初め 農地転用の許可と、開発行為の許可を得て、造成工事に着手
2031年度の前半まで 事業計画区域の造成工事の完了を目指す
2031年度の後半 立地する企業の建築工事の開始を目指す

※スケジュールの「案」は、市の基本計画書に示されたもので、確定した日程ではありません。最新の状況は、茂原市にご確認ください。

跡地の権利関係|市有地、借地、地権者25名

空き家や土地の投資をしている人にとって、いちばん気になるのは、権利関係ではないでしょうか。真名団地は、市営住宅なのに、土地の全部が市のものではありません。

区分 面積 補足
市有地 約2.4ha 茂原市が所有する土地
民地(借地) 約3.2ha 民間の地権者から借りている土地。地権者は25名(令和8年4月末現在)
合計 約56,000平方メートル(公簿) 地目は宅地、田、畑、山林、原野など。数字は公簿上のもの

約5.6ヘクタールのうち、半分以上が借地です。しかも、借地は敷地の中に入り組んでいます。市の2021年の資料では、地権者が26名とされていましたが、2026年6月の基本計画書では25名(令和8年4月末現在)になっています。市営住宅の跡地を整備するには、これらの地権者との協議が欠かせません。

基本計画書では、事業手法として「開発行為」と「土地区画整理事業」を比べて、真名団地地区には開発行為が適していると想定しています。開発行為は、仕組みが簡単で手続きも比較的簡易ですが、地権者全員の同意が必要になる、という点が弱みとして書かれています。地権者が25名と比較的少数であることも、判断の理由の一つに挙げられていました。

また、基本計画書では、事業計画区域内にある戸建て住宅、店舗併用住宅、周辺の事業所、太陽光発電施設を移転の対象に含めるかどうかは、地権者の同意の見込みも考慮した民間開発事業者の提案による、とされています。固定資産税については、市有地は課税されないのが一般的ですが、借地部分は地権者が負担していることになります。税金の扱いは個別の事情で異なるため、詳しくは自治体や税理士にご確認ください。

解体費は誰が負担するのか|民間事業者の役割と概算事業費

数十棟の建物を壊すには、どのくらいお金がかかるのでしょうか。個々の建物の解体費は、資料では確認できませんでした。ただ、基本計画書には、産業用地として整備する場合の「概算事業費」が載っています。

これは、2025年度(令和7年度)に市が実施した、産業用地の立地可能性調査での試算です。事業計画区域を12.7ヘクタールと仮に設定した場合の金額で、今後、民間開発事業者による具体的な土地利用計画が検討されるまでの参考資料、と位置づけられています。

費目 金額(百万円) 備考
工事費総計 2,557 –
移転補償費 715 –
調査設計費 384 工事費総計の15%
民間開発事業者の経費 1,104 一定の率で算定
事業費計 4,760 –
消費税 476 –
用地取得費 760 –
総事業費 5,996 約60億円
産業用地整備事業補助金 1,462 公共施設の建設分に限る
総事業費(補助後) 4,534 約45億円

この試算を見ると、総事業費は約60億円、補助後で約45億円にのぼります。市営住宅の撤去について、基本計画書は「相応の費用が見込まれる」と書き、事業として成り立たせるためには、道路・水路・調整池など公共施設の建設への補助、公共残土の活用による費用の軽減、そして建物の撤去費用を考慮した価格での市有地の売却が必要になる、と整理しています。また、千葉県の立地企業補助金の活用を前提に、市がインフラ整備への補助を行うことが望まれる、とも書かれています。

ここで押さえておきたいのは、解体費は誰か一人が丸ごと負担するのではなく、市、民間事業者、補助金、そして最終的に土地を買う企業の間で、分け合う形になることが多いという点です。「民間事業者が撤去する」とされていても、その費用は、土地の売却価格や補助金の形で、全体の事業収支の中に織り込まれます。誰がいくら負担するかは、これから決まっていく部分です。

斜面と防災|土砂災害警戒区域という論点

斜面と隣り合う真名団地の建物を指さす椙田拓也

FNNの報道では、真名団地を上空から見ると、山の斜面と隣接していることが伝えられていました。この夏の千葉県の豪雨では、真名団地に大きな被害は出なかったものの、市は斜面の危険性も考慮しながら整備していきたいと説明しているとのことです。

基本計画書でも、同じ点が確認できます。市営真名住宅と周辺の一部が、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)と土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定されている、と書かれています。一方で、茂原市の洪水ハザードマップでは、事業計画区域は浸水想定区域に入っていません。さらに、特定都市河川流域の制度により、一定の面積以上の造成では、雨水を貯める施設を設ける義務がある、とされています。

これを受けて、土地利用の方針には、調整池を1か所配置することや、公園・緑地を事業計画区域の3%以上確保することなどが盛り込まれています。ほかにも、農業振興地域の農用地区域からの除外や、農地転用の許可、用途地域の指定(現在は用途地域の指定がない地域です)、埋蔵文化財の試掘調査などの手続きが必要だと整理されています。

空き家投資の目線でも、この「災害リスクの確認」は、とても大切です。僕は、物件を買う前に、ハザードマップで、土砂災害や浸水のリスクをいつも調べるようにしています。自治体の公式サイトで無料で見られるので、候補の物件が見つかったら、まず確認してみてください。

廃墟化が招く問題|不法侵入・火災・ごみの投棄

窓が板でふさがれた真名団地の建物と草地

市の担当者が、再開発を決めた理由の一つとして挙げているのが、不法侵入や火災の危険性です。報道でも、ドアの破損、窓ガラスの破損、ごみの投棄が伝えられていました。

以前から、僕は、空き家が増えると何が起きるかを、繰り返しお話ししてきました。治安の悪化、落書き、不法投棄、害虫や害獣の発生、そして軒や建具が腐って崩れる物理的な危険です。人が住まなくなった建物は、想像以上のスピードで傷みます。窓が割れると雨風が入り、中の木材が腐り、さらに荒れていく、という悪循環です。

こうした状況を踏まえると、全員が退去したあとも、解体や再開発が始まるまでの間の管理が、実はとても重要だとわかります。敷地を囲う、出入口をふさぐ、定期的に巡回する、といった対応が必要です。誰が、どの範囲を、どの頻度で管理するのか。この空白の期間をどう短くするかが、廃墟化を防ぐカギになります。

民間の空き家との共通点と違い|空き家投資家が学べること

真名団地は、自治体の事業なので、規模も手法も、僕たちが扱う築古戸建てとは大きく違います。それでも、考え方には共通点があります。

視点 真名団地のケース 戸建て投資での学び
立地 圏央道のインターチェンジに近く、産業用地として適地とされた 最寄りの道路や駅、周辺の需要。用途を変えるときも立地が最大の武器になる
権利関係 市有地と借地が入り組み、地権者は25名 借地権、共有名義、境界など。購入前に登記と現地で確認する
建物の状態 老朽化し、解体が前提に 解体費を見込んで、物件価格を判断する
出口 住宅から産業用地へ。用途を大きく変える 賃貸、売却、解体して更地など。出口を複数持つ
法規制 農振、用途地域、土砂災害区域など 再建築の可否、用途地域、ハザードの確認
時間 廃止の方針から再開発の着手まで、年単位 手続きや交渉は、想定より時間がかかる前提で資金を組む

このなかで、僕がとくに参考になると感じるのは、「出口」と「権利関係」です。

出口についてです。真名団地は、住宅としての役割を終えたあと、産業用地という別の用途で、再び価値を生み出そうとしています。民間の空き家でも、そのまま住宅として貸すだけでなく、売却や、更地にしての活用など、複数の出口を考えておくことが大事です。出口戦略については、別の記事で詳しく書いています。

権利関係についてです。借地が約6割を占め、地権者が25名もいると、全員の同意をとるだけで、大変な作業になります。僕たちが買う戸建てでも、借地権付きの物件、隣地との境界があいまいな物件、共有名義の物件などは、手間も時間もかかります。安く買えた理由が、権利関係の複雑さにあることも少なくありません。

もう一つ、解体費の話です。建物をなくすだけでも、相応の費用がかかります。自治体の大型事業でさえ、撤去費用が事業の採算を左右するのですから、個人が買う空き家でも、解体費を見込まずに価格を判断するのは危険です。仮の例ですが、解体しなければ使えない物件を、解体費を考えずに「安い」と思って買えば、結局は高くつくことがあります。見積もりを取ってから判断することをおすすめします。

政策空き家と、空き家問題の今

以前、夕張市の事例を取り上げたときにお話ししたように、新しいまちづくりのために、あえて空き家をつくっていく政策を「政策空き家」と呼びます。真名団地も、これに近い動きです。老朽化した市営住宅を集約して、入居者に転居してもらい、跡地を新しい用途に切り替える、という流れだからです。

人が住まなくなる地域は、日本中にあります。建物が残れば、管理のためにお金が必要になります。そのお金は、巡りめぐって、私たち納税者が負担することにもなります。だからこそ、利活用できない空き家は減らし、利活用できる空き家は残して、再び使っていくことが大切だと、僕は考えています。

そして、民間の空き家についても、同じことが言えます。使える空き家を、必要としている人につなぐ。使えない空き家は、安全に解体して、次の用途につなげる。この二つを、地域の中で回していくことが、空き家問題の出口になると思います。

よくある質問

Q1.真名団地には、いま住んでいる人はいますか?

茂原市の資料では、居住者は令和7年度末(2026年3月)をもって退去済みです。報道でも、2026年3月中旬にすべての居住者が転居したと伝えられています。ただし、市営住宅の周辺には、戸建て住宅や事業所などの民間の建物があることが、市の資料に記載されています。

Q2.真名団地は、これから何になるのですか?

FNNの報道で、市の担当者が、産業用地として再開発すると説明しています。市の基本計画書(2026年6月)でも、産業用地整備事業として、民間開発事業者と協力して進める方針が示されています。ただし、事業者の選定や許可の手続きはこれからで、計画は変わる可能性があります。

Q3.解体はいつ始まりますか?

僕が確認した範囲では、具体的な解体の開始時期は、公表されていませんでした。基本計画書のスケジュール(案)では、令和8年度に事業者を公募・選定し、その後に造成工事に着手する流れです。最新の状況は、茂原市にご確認ください。

Q4.なぜ市は、住宅ではなく産業用地にするのですか?

市の資料では、圏央道のインターチェンジに近い立地を生かすこと、市内に新たに供給できる産業用地がなく、企業の立地需要が比較的旺盛であることが、理由として整理されています。広い敷地を、住宅として再生するより、企業誘致につなげる方針です。

Q5.個人の空き家でも、同じように再開発できますか?

規模も手法も異なります。個人の空き家の場合は、建物を残して賃貸にする、売却する、解体して更地にするなど、状況に合わせた選択肢があります。用途地域や再建築の可否、接道、ハザード、権利関係を確認したうえで、役所や専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

今日は、真名団地のその後について、お話ししました。要点を整理します。

  • 市営真名住宅(全299戸)は、2021年に廃止の方針が決まり、2026年3月までに居住者が退去済み
  • FNNの報道で、市は産業用地として再開発する方針と説明。民間事業者を選定中とのこと
  • 市の基本計画書(2026年6月)では、民間開発事業者が市営住宅を撤去し、産業用地を整備する想定。スケジュールは案の段階
  • 敷地は市有地約2.4ヘクタールと借地約3.2ヘクタールが混在し、地権者は25名
  • 斜面や土砂災害警戒区域への配慮、農振除外などの手続きが課題
  • 解体の具体的な時期や、決まった事業者名は、確認できていない

僕が、この事例から一番学べると思うのは、建物の価値は、立地、権利関係、解体費、そして出口の組み合わせで決まる、ということです。住宅としての役目を終えても、土地は別の形で生き返ることができます。同時に、手続きと費用と時間が、想像以上にかかることも、この団地は教えてくれます。

空き家は、放置されるほど、周囲に影響が広がります。使えるものは活かし、使えないものは安全に手放す。真名団地のその後を、これからも見守っていきたいと思います。

※この記事は、2026年10月26日時点で確認できた市の資料と報道をもとにした、一般的な情報です。市の計画や制度は、変わることがあります。最新の情報は茂原市などの公式情報で、また、法律や税金については、専門家に確認してください。

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