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空き家を買う前に上下水道を確認する|給水・排水・井戸・浄化槽の見る順番と費用の考え方

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椙田(すぎた)です、

「安い空き家を見つけたけれど、水道が使えるのか分からない」「古い家で、蛇口をひねっても水が出なかったらどうしよう」。購入前の相談で、よく聞かれる不安です。

今日は、空き家を買う前に、上下水道をどの順番で確認するか、そして見つかった費用をどう扱うかについて、お話しします。僕自身、過去にアパートで井戸の水が枯れてしまい、水道局の水道を引き直すことになって、数百万円の工事費がかかった経験があります。その反省も込めて書きます。

※この記事は、一般的な情報の提供です。水道や下水道の扱いは、自治体によって異なります。実際の購入や工事は、役所や専門の業者に確認したうえで、ご自身の判断で行ってください。

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電気やガスより、水道を先に確認する理由

ライフラインの中で、購入前にいちばんしっかり確認してほしいのが、水道です。

電気は、電力会社と契約すれば使えるようになることがほとんどです。ガスも、プロパンガスであれば、ガス会社と契約すれば、たいていは引けます。ところが、水道はそうはいきません。水道そのものは水道局が管理していますが、敷地の中にある配管や設備の割合が大きく、その部分が古くなって傷んでいると、修理や交換の費用を、持ち主が負担しなければならないケースがあります。

水回りの確認には、手間がかかります。業者を呼べば、その分のお金も出ていきます。それでも、この手間をかけるかどうかで、同じ工事に払う金額が数十万円変わることがあります。そして、購入前に水回りの状態と工事費の目安をつかめていれば、その金額を物件価格の値引き交渉に使えます。かけた手間が、そのまま利益を守る材料になります。

確認する順番は、4つ

水回りの状態は、売主さんや仲介会社さんに聞くだけでは足りません。確認する場所と、確認する順番があります。

順番 やること 分かること
1 物件資料を見て、売主さんや仲介会社さんに聞き取りをする 水の出どころ、排水の方法、今使えるかの大まかな状況
2 役所や水道局の窓口で、水道の図面を確認する 水道管の引き込みのルート、水道メーターの位置
3 現地に行って、実際に水を流してみる 水量、漏れ、止水栓の状態など、今の実際の状態
4 自分では判断しきれない部分を、専門の業者に見てもらう 工事が必要な場合の内容と費用の目安

1つ目の聞き取りでは、大きく3つを確認します。水をどこから取っているのか。使った水をどこへ流しているのか。そして、今、水が使える状態なのか。物件資料に書いてあることもありますし、書いていなければ、仲介会社さんに聞きます。

ただし、聞き取りで得た情報が、間違っている可能性は否定できません。悪気がなくても、長年使われていない空き家だと、持ち主自身が、水回りの今の状態を把握していないことがあります。聞き取りは、あくまでスタート地点です。最終的には、自分で裏付けを取りにいきます。

2つ目の水道の図面は、道路の下を通っている水道管から、敷地の中へどう引き込まれているか、どこに水道メーターがあるか、といったことが分かる図面です。どんな図面が残っているかは、自治体によって違います。まずは窓口に問い合わせて、見られる資料を確認してください。本管のルートをつかんでおくと、今は接続されていない場合でも、将来つなぐときに必要になるので、入手しておくと安心です。

3つ目の現地で水を流すことは、水道に関しては、いちばん確実な確認方法です。

給水:上水道か、井戸か

蛇口をひねって水が出たら、それで確認完了かというと、そうではありません。水が出るかどうかを見る前に、その水がどこから来ているかで、確認する中身が変わります。生活に使う水の取り方は、大きく分けて、上水道と井戸の2つです。

上水道は、浄水場できれいにした水を、道路の下の水道管を通して、各家庭に届ける仕組みです。普段、私たちが「水道」と呼んでいるもので、空き家でも、大半の物件には上水道が引かれています。

ただ、たまに、井戸水、つまり地下水をくみ上げて生活用の水にしている物件があります。ここは、必ず確認してください。

井戸には、手間とリスクがある

井戸には、入居者さんにとって分かりやすいメリットがあります。水道局から水を買っているわけではないので、水道代がかからないことです。

一方で、持ち主の側には、手間とリスクがあります。

  • 年に1回、水質の検査をすることになります。
  • 地下の水を地上までくみ上げるには、揚水ポンプという機械を使います。この機械が故障すれば、修理や交換が必要になり、直るまでの間、入居者さんは水が使えなくなります。
  • 井戸そのものが、枯れてしまうことがあります。僕が経験したアパートでは、井戸の水が枯れて、上水道を引き直すことになり、数百万円の工事費がかかりました。

こうした理由から、僕は、井戸の物件をあまりおすすめしていません。それでも購入するのであれば、水質検査の手間、ポンプが壊れるリスク、井戸が枯れるリスクを、最初から値段に織り込んで、そのぶん大幅に安く取得することです。安く買っておくことが、そのままリスクへの備えになります。

上水道か井戸かは、聞き取りと図面、そして現地の様子を突き合わせて判断します。現地では、水道メーターがあるか、井戸やポンプの設備があるか、が見分ける手がかりになります。

現地で水を流すときの確認ポイント

水を流すときは、蛇口をひねって水が出ただけで安心しないでください。次のポイントを順に確認します。

  • 止水栓を確認する。長年の空き家では、止水栓が閉まっていて、蛇口をひねっても水が出ないことがあります。止水栓は、水道管の途中にあって、水の流れを止めたり通したりする栓です。その場合は、止水栓を開けてから水を流します。水道の契約そのものが止まっている場合は、水道局で使用を始める手続きが必要になることもあります。人の持ち物ですから、栓を開けるときは、売主さんや仲介会社さんの了承を取ってから行ってください。
  • 1分以上、流し続ける。水道管が破損していたり、どこかで水が止まっていたりしても、少しの量の水なら流れてくることはよくあります。最初の数秒で安心せず、十分な量の水が出続けるかを確認します。最初は勢いよく出ても、だんだん細くなるようなら、配管のどこかに問題を抱えている可能性があります。
  • 漏れがないか、見て回る。水を流している間に、蛇口の根元、シンクの下、トイレのまわり、屋外に出ている配管のあたりを見ます。しばらく水が通っていなかった配管に、久しぶりに水が流れるので、それまで分からなかった漏れが出てくることがあります。
  • 水道メーターを見る。家の中の蛇口を全部閉めた状態で、水道メーターが動き続けていないかを確認します。目に見えない場所の漏れに気づく手がかりになります。
  • 水が出る場所は、全部試す。キッチン、お風呂、洗面所、トイレ、屋外の水栓。1か所だけで済ませないでください。

水量や漏れに不安が残ったら、業者に見てもらう段階です。

排水:下水道・浄化槽・汲み取り式

もう一つの柱が、排水、つまり使った水をどこへ流すのかです。方式によって、買う前に確認することと、貸すときの考え方が変わります。

方式 特徴 買う前に確認したいこと
下水道 家から出た汚れた水を、道路の下の下水管で処理場まで運び、きれいにして川や海に戻す仕組み。ベストな状態 前の道路まで下水道が来ているか(役所で確認)
浄化槽 下水道がない地域に多い。敷地に埋めたタンクで、微生物の働きで水をきれいにして流す。定期的な点検や清掃といった管理が必要 今の状態と、これまでどう管理されてきたか
汲み取り式 トイレの下のタンクにためて、定期的にくみ取ってもらう方式。水洗トイレとは仕組みが違う 貸すための工夫にかかる手間と費用(入居者に不人気なため、そのまま貸し出すのは難しい)

排水の方法も、聞き取りだけで決めつけません。役所で、前の道路まで下水道が来ているかを確認し、現地で浄化槽や汲み取り口がないかを見て、突き合わせます。

地方に行くと、そもそも下水道が引かれていない地域があります。そうした地域の物件は、浄化槽や汲み取り式であることが多いので、購入を検討する段階で、工夫と費用を見込んでおく必要があります。

自分で判断できないときは、専門業者に

図面を見ても、現地で水を流しても、自分では判断しきれない。そういうときは、水道業者など、専門の業者に見てもらいます。ただ、注意したいのは、費用がかかることと、悪質な業者もいることの2つです。依頼する側が水回りに詳しくないのをいいことに、高い金額を請求してくる業者も、残念ながらいます。

2社の見積もりが、倍以上違った例

大阪の古民家で水漏れが起き、高額な水道代の請求が来たとき、僕は水道業者を2社呼んで、見積もりを取りました。1社目は70万円、2社目は30万円でした。同じ水漏れの工事で、倍以上の開きです。1社だけに頼んでいたら、その金額が高いのか安いのか、判断のしようがありませんでした。

しかも、30万円の業者にそのまま頼んで終わったわけではありません。市役所の担当の方に来てもらい、自治体として対応してもらえる工事と、民間の業者でやらざるを得ない工事を、交渉して切り分けてもらいました。その結果、支出を最小限に抑えて、工事を終えることができました。

水道管は、場所によって、自治体が受け持つ部分と、持ち主が受け持つ部分に分かれていることがあります。どこまでが自治体の対応になるかは、自治体や配管の状況によって違い、必ず対応してもらえるわけでもありません。それでも、民間の業者に全部お願いする前に、役所に相談して、その線引きを確認する価値は十分にあります。

業者に頼むときの流れは、次のとおりです。

  1. 少なくとも2社から、見積もりを取る
  2. 金額だけでなく、どこからどこまでの工事なのかを見比べる
  3. 自治体に相談できる部分がないか、役所に確認する

この流れを踏むだけで、払わなくていいお金を払ってしまうリスクを、ぐっと減らせます。

確認しきれないときは、金額に置き換える

購入前だと、業者に見てもらっても、確認しきれないことがあります。水がまだ通せない、配管が地面の下や壁の中にあって見えない、資料と現地の状態が違っている。こういうケースです。

その場合、僕は、水道管を全部引き直すとしたらいくらかかるか、という見積もりを取ります。そして、その費用の分を、物件価格から値引きしてもらうよう交渉します。実際に工事をする段階では、工夫で、そのコストをできるだけ小さく抑えます。値引きしてもらった金額と、実際にかかった工事費の差が、そのまま利益になります。

もちろん、値引きに応じてもらえず、工事費を払うと賃貸にしても利益が残らない、ということであれば、無理に進める必要はありません。確認しきれない部分を、分からないまま放っておかずに、「全部引き直したらいくらか」という金額に置き換える。そうすれば、買うか、価格を交渉するか、見送るかを、数字で判断できます。

水回りの工事費は、家賃から逆算して判断する

水回りの工事費が見えてきたら、次は、その金額を払っても、物件として成り立つかを判断します。僕は、土地や建物の価値を見るより、家賃から逆算します。この家を、最悪いくらで貸せるかを考え、そこから「いくらで仕入れないと合わないか」を決めます。修繕費がかかるなら、その分も引き算します。上水道の引き直しのように、まとまった費用が出る可能性のある項目は、先に金額にして引いておきます。

たとえば(仮の例です)、貸せる家賃が月2万円、年に24万円。固定資産税や火災保険で、年に10万円ほど出ていくとします。手元に残るのは、年に14万円、固く見て10万円です。ここに、水道の工事で数十万円かかる見込みがあるなら、買値でそのぶん下げてもらわないと、回収に何年もかかってしまいます。

だから、「水が出たからOK」と考えるのではなく、「直すとしたらいくらかかって、それを買値でどれだけ下げてもらえるか」まで、セットで考えます。

見落としやすいポイント

  • 売主さんの「水は出ます」を、そのまま信じてしまう(最近使っていないと、持ち主も分かりません)
  • 蛇口を1か所だけひねって、確認を終えてしまう
  • 図面を見ずに、「たぶん上水道だろう」と思い込む
  • 水道業者の見積もりを、1社だけで決めてしまう
  • 浄化槽や汲み取り式の物件で、貸すための手間と費用を見積もらない

購入前のチェック表

気になる物件がある方は、物件資料を開いて、分かるところから、次の表を埋めてみてください。

項目 確認すること 確認先
給水方法 上水道か、井戸か 物件資料・仲介会社・現地(水道メーター、井戸やポンプの有無)
排水方法 下水道か、浄化槽か、汲み取り式か 役所・現地
現在使えるか 水が出る状態か。止水栓、水道の契約は 現地・水道局
図面 本管のルート、水道メーターの位置 役所・水道局の窓口
見積もり 何社から取ったか。工事の範囲はどこまでか 水道業者
未確認事項 埋まらなかった項目 仲介会社に問い合わせる

埋まらなかった項目は、そのまま仲介会社さんに問い合わせます。たとえば、「この物件の給水は、上水道でしょうか、井戸でしょうか。排水は、下水道、浄化槽、汲み取り式のどれでしょうか。現在、水は出る状態でしょうか」と送ります。この3つを聞くだけで、確認の順番の1つ目が動き出します。

よくある質問

水道が止まっている空き家は、買わないほうがいいですか?

一概にそうとは言えません。止水栓が閉まっているだけのこともあれば、水道の契約が止まっているだけのこともあります。ただ、配管が傷んでいる可能性もあるので、「全部引き直したらいくらか」という金額に置き換えて、値引きや見送りを判断してください。

井戸付きの物件は、避けるべきですか?

僕は、あまりおすすめしていません。水質検査の手間、ポンプが壊れるリスク、井戸が枯れるリスクがあるからです。それでも買うなら、そのリスクを織り込んで、大幅に安く取得することです。

浄化槽の物件でも、貸せますか?

浄化槽は、定期的な点検や清掃といった管理が必要です。今の状態と、これまでの管理の様子を確認したうえで、管理の手間と費用を見込めるかどうかで判断してください。

業者は、1社に頼めばいいですか?

少なくとも2社から、見積もりを取ってください。僕の水漏れの例では、見積もりが70万円と30万円で、倍以上の差がありました。金額だけでなく、工事の範囲も見比べることが大切です。

水回りの工事費は、いくらくらいかかりますか?

物件や配管の状況、自治体によって大きく違うので、一概には言えません。僕の経験でいうと、水漏れの工事の見積もりが30万円と70万円、井戸が枯れて上水道を引き直した例が数百万円でした。だからこそ、購入前に、工事費の目安をつかんでおくことが大切です。

まとめ

水回りの確認は、水が使えるかどうかを調べて終わる作業ではありません。直すためのお金を、誰が、どれだけ負担するのかを決める作業です。

購入前であれば、売主さんに、値引きという形で負担してもらえる可能性があります。自治体が対応してくれる工事があれば、そこは切り分けてもらえます。そして、残った分は、自分の工夫で小さくします。この3つに分けられた分だけ、手元に利益が残ります。買ってしまってから水回りの問題に気づけば、1つ目の値引き交渉は、もうできません。

確認の順番は、聞き取り、図面、現地で水を流す、専門業者、の4つです。給水方法、排水方法、現在使えるか、確認先、見積もり、未確認事項。この6つを、次に物件資料を開くときのチェックポイントにしてください。

水回りの見極めと、見つかった修繕費を値引き交渉につなげる具体的なやり方は、スクールでも詳しくお伝えしています。

※繰り返しになりますが、この記事は一般的な情報の提供です。水道や下水道の扱いは自治体によって異なります。実際の購入や工事は、役所や専門の業者に確認したうえで、ご自身の判断で行ってください。

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